セルフライナーノーツ「歌曲作品集[小園]」M-3,M-4,etc

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

M-3 [間奏]

このインストの曲はアルバム制作の最後の最後に、まさに曲の間の
演奏として急ピッチで作りました。曲というよりはほとんどアドリブ
にちかい即興曲という感じです。
これはフレットレスのエレキベース、ピアノ(Ivory2)、ソプラノ
サックスだけですがルバート(テンポ無し)で僕が演奏、多重録音し
たものです。何から録ったのか忘れてしまったのですがたぶんピアノ
だったと思います。本来は3人同時に演奏、録音となりますが僕一人
なので最初のピアノ演奏時の呼吸をしっかりと覚えて、譜面(コード譜)
に記号を書き加えます。

ジャズっぽい感じになっているのは狙った訳ではなくて僕の場合は
勝手にそうなってしまうという感じです。なのでこのアルバムの中で
は一番自然な感じで作った曲(即興)です。
このようなライブ感のある曲はミックスからの作業が楽しくて、やは

り自身の音楽性を上げていく為にも楽しい要素をどんどん入れていき

たいなと思います。


————
M-4 [かわたれ]

この曲はM-1[木漏れ陽]とほとんど同じ時期に出来た曲だと思います。
他の曲と比べるとサビがわかりやすくキャッチーめなので甘い歌詞と
相まって人気があるとかないとか…。
この「かわたれ」というは昔の言葉でして「彼は誰」というように
漢字でも書かれます。漢字をみるとわかりますが彼は誰?あなたは誰
ですか?という意味です。大昔に「あなたは誰ですか?」と尋ねなけ
ればならない時間帯がありまして、それは夜中。夜中も夜中の明け方
に近い方です。昔は女性宅に男性が夜中に忍び込んで事に及んでいた
といいますがそんな中で女性がその男の顔がよく見えない状態で「
あなたは誰ですか?」と尋ねるような時間帯の事を「彼は誰時」なん
ていうそうです。ちなみにそのちょうど真裏の時間帯の夕方前あたり
をかの有名な「黄昏時」といいます。
詩を見聴きしていただけるとわかると思うのですがまさに夜明け前の
時間帯であるかのようなシチュエーションになっています。

作曲した時は確かギターだったと思います。最初からジャズっぽい曲
でしたしアルバムのバランスを考え、より静かにより大人っぽい雰囲
気をだしてみようとしました。ホーンアレンジは無くてもよいかなと
思ったのですが「入れる」という事を前提とした場合に自分がどこま
で出来るのかという事を示したかったという側面もありました。

ちなみにこの曲に関してはファーストバージョンが存在し、それは
最後の「Fill Up Your Life」の隠しトラックに入っています。約3分
間の無音部分の後にドラムレスの演奏で入っていますのでもし知らな
かったという方はチェックしてみてください。この歌はやはりAkane
さんの歌だと僕は思っています。野沢菜(山本ひかり)さんをフィッ
クスとしてフィーチャリングしたのはAkaneさんが遠方にお住みで、
おいそれとレコーディングが出来ないという環境があるからでした。

野沢菜さんのフィックスが良くないという事ではなく、CDに入って
いる「かわたれ」は正確に言えばスモールガーデンのセルフカバー
(音源発表は今作CDが初ですが)という事になるかもしれません。

楽曲のレコーディングについて、この曲で演奏しているのはサックス
とセンター位置のギターです。他はプログラミング(MIDI打ち込み)
です。僕の使っている「addictive drums」というドラム音源はブラ
シの音が良いのでよく使います。そしてトランペット、トロンボーン
は業界では有名な「Kick Ass Brass!」です。サンプリングされてい
るものなのでリアルなのですが古い音源なので64ビット化されておら
ず、今後使えなくなる可能性があり困っています。AMGさんには是非
対応を(僕も既にメールしていますが)お願いしたい所です。

兎にも角にも、かなりアコースティックな楽曲「かわたれ」なのです
が意外にも8割方がコンピューター音源だという事で、聴き比べなけ
れば生楽器との違いは少なくなってきていると思います。今後は空間
やアナログのシミュレーションもさらに進んでくるので一人でもさら
に良い音で作品が作れる様になってくると思います。

――

small garden studioの機材について(その1)

今回は、いきなりマニアックな電源とクロックジェネレーターについて。
上部にある写真の中段、CDプレイヤーの上にあるのが僕の制作部屋にあ
る「クロックジェネレーター兼分配機」です。これを使う事によってデジ
タル音声の分解能が上がります。このジェネレーターの心臓部はルビジウ
ム発振器で10Mhzの信号が出ており、それを内部で振幅を落として使用し
ています。
ディスプレイ表示の48.000khzや44.100khzなどは実際にはコンマ以下
8桁まで0が揃っています。大体の機器の内蔵の発振器では47.870khzや
44.183khzなど、規格と結構ズレている状態で動作しています。この
ズレを修正してくれるのが外部のクロックジェネレーターなのです。

これは写真に例えるとわかりやすいのですが、録音時の周波数がズレてい
るというのはカメラのピントが合っていないという事。再生時の周波数が
ズレているというのは眼鏡の度が合っていないという感じです。ピントの
合っていない写真を度数の合っていない眼鏡で見たら…もう何が写ってい
るのかわかりませんね。録音時に音のピントを合わせるというのはとても
重要な事です。(最近では4Kカメラなど細かすぎるのも嫌われている節
がありますけど。)それにしても、後に多少ぼやかしたりわざとはっきり
させない加工をする事もあるので素材である大元は出来る限りピントをば
っちり合わせなければなりません。

基本的にスタジオでは録音時、ミックスダウン、マスタリング時にこの機
材が活躍します。非常に高熱になる為、また内部のルビジウム発振器の延
命の為に常時使用する事はしていません。ここぞという時に使用している
訳ですが、スイッチを入れると不思議と音量が下がったような、音が痩せ
る?ような感じになります。おそらく音のフォーカスがピタっと合うから
だと思います。高級機で再生してもそのシステムに耐えうる音質にしたい
と思って数年前に買いましたが大正解でした。今後も活躍してもらいたい
と思います。

そして最後に電源です。
電源についてはよくある話なのですが、今の制作部屋を施工して頂いた
時に電源も独立して200Vのものを増設して部屋に引きました。
写真の右側に映っているアルミホイルで覆われた物体は200Vを117V、
115V、100Vに変換している電源安定化トランスです。家電とは全く切
り離されているので電源ノイズを気にせず作業する事が出来ます。

という感じです。
あとは良い作品を生み出すだけですね。(笑)
粛々とやって参りますのでどうぞよろしくお願いします。

お読み頂きましてどうもありがとうございます。
次回はM-5,6と合わせてD.A.W.やスピーカー周りを少しご紹介させて
頂きます。